失効してしまった生命保険はどうなるのでしょうか?
父が亡くなりました。色々と整理していたところ、父の生命保険契約が見つかりました。保険会社に現状を確認すると、「しばらく保険料を支払っていなかったので、『失効』しています」と言われました。また、「死亡保険金は支払われないが、解約返戻金があるので、受け取りの手続きをしてください」とも言われました。亡くなった父の生命保険はどうなってしまうのでしょうか。
- 保険種類:終身保険
- 保険金額:1,000万円
- 契約者(保険料負担者):父
- 被保険者:父
- 死亡保険金受取人:母
生命保険契約は、保険料が支払われずにしばらく放置されると失効します。失効すると、死亡保険金は受け取れませんが、解約返戻金があれば生命保険会社に請求することができます。今回のご相談の場合、解約返戻金があるとのことですので、受け取りの手続きを進めましょう。
生命保険契約は、払込方法に応じた期日までに保険料を支払う必要があります。保険料を支払わずにしばらく放置すると、自動振替貸付(生命保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を立て替える制度)が適用されない限り、生命保険契約は失効します。失効すると、保険金の支払事由が発生したことにより保険金受取人が請求しても、当該保険金を受け取ることはできません。
保険料の払込方法は主に、月、半年、年などに分かれ、それぞれ保険料を支払う月(払込期月)が定められており、その期間に保険料を支払います。ただし払込期月に支払わないとすぐに契約が失効するわけではなく、それぞれ猶予期間(払込猶予)が設けられています。
ここでは主な払込方法別の払込期月と払込猶予の一例を、以下にまとめました。
- 払込期月:月ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで
- 払込猶予:払込期月の翌月の1日から末日まで
- 払込期月:半年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで
- 払込猶予:払込期月の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日まで
- 払込期月:年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで
- 払込猶予:払込期月の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日まで
契約が失効した場合でも一定の期間内であれば契約を復活できる場合もありますが、今回のケースは、失効中に被保険者がお亡くなりになっていますので、復活はできないものと思われます。現に、生命保険会社から解約返戻金の受け取りの手続きをとるようお話がされているようですので、死亡保険金の請求ではなく、解約返戻金の手続きとなります。
解約返戻金は、保険会社の案内に従って法定相続人が受け取ることとなります。死亡保険金の受取人ではない点に注意しましょう。
なお、この解約返戻金は、死亡保険金のようなみなし相続財産ではなく本来の相続財産になります。相続税法上の非課税枠「500万円×法定相続人の数」は適用できませんので、ご注意ください。
今回のように、契約が失効している生命保険契約を、契約者かつ被保険者死亡後にご遺族が発見し、死亡保険金が受け取れないケースを見受けます。生前であれば、契約を復活させるなどの対処ができる場合があります。こういった生命保険契約がないかどうか、何かの折に確認しておかれるとよいでしょう。
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