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文書作成日:2026/04/05
返済が見込めそうにない貸付金も相続財産となるの?

返済が滞っている貸付金があります。このような貸付金は相続財産となるのでしょうか?

Q
今月のご相談

 夫が経営しているA社へ父がお金を貸しています。しかし、A社の業績が悪く、返済が滞っているようです。
 返してもらえるかどうか定かではないのですが、このような貸付金であっても、父が亡くなった場合、相続財産となるのでしょうか。
 また、生前に債権放棄した場合にはどうなりますか。

A-1
ワンポイントアドバイス

 お父様が亡くなった時点で貸付金が残っていれば、原則として相続財産に含まれます。また、生前の債権放棄にはさまざまなリスクがあるため、実行にあたっては慎重な検討が必要です。

A-2
詳細解説
1.本来の財産

 お父様が亡くなった時点で所有していた財産で、金銭的に価値のあるすべての財産に対して相続税が課税されます。具体的には、土地、建物、借地権(土地を借りる権利)、事業用(農業用)の財産、株式、公社債、投資信託、現預金、貸付金、家庭用財産(家電、家具など)、書画骨とう、貴金属、自動車、特許権、電話加入権、立木などが該当します。

 返済が滞っている貸付金であっても、回収が不可能または著しく困難と認められるなどの一定の場合を除き、相続財産に含まれます。

 この場合の「一定の場合」とされるものとは、以下のとおりです。

 債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するとき、その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。

(1)債務者について次に掲げる事実が発生している場合におけるその債務者に対して有する貸付金債権等の金額(その金額のうち、質権及び抵当権によって担保されている部分の金額を除く。)

イ 手形交換所(これに準ずる機関を含む。)において取引停止処分を受けたとき

ロ 会社更生法(平成14年法律第154号)の規定による更生手続開始の決定があったとき

ハ 民事再生法(平成11年法律第225号)の規定による再生手続開始の決定があったとき

ニ 会社法の規定による特別清算開始の命令があったとき

ホ 破産法(平成16年法律第75号)の規定による破産手続開始の決定があったとき

ヘ 業況不振のため又はその営む事業について重大な損失を受けたため、その事業を廃止し又は6か月以上休業しているとき

(2)更生計画認可の決定、再生計画認可の決定、特別清算に係る協定の認可の決定又は法律の定める整理手続によらない、いわゆる債権者集会の協議により、債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等の決定があった場合において、これらの決定のあった日現在におけるその債務者に対して有する債権のうち、その決定により切り捨てられる部分の債権の金額及び次に掲げる金額

イ 弁済までの据置期間が決定後5年を超える場合におけるその債権の金額

ロ 年賦償還等の決定により割賦弁済されることとなった債権の金額のうち、課税時期後5年を経過した日後に弁済されることとなる部分の金額

(3)当事者間の契約により債権の切捨て、棚上げ、年賦償還等が行われた場合において、それが金融機関のあっせんに基づくものであるなど真正に成立したものと認めるものであるときにおける、その債権の金額のうち(2)に掲げる金額に準ずる金額

2.債権放棄した場合

 債権放棄した場合には、その分がA社の受贈益となります。

 これによってA社の株価が上がった場合は、株主への「みなし贈与」として贈与税の対象となる可能性が考えられます。

 さらに、他に相続人となる方がいらっしゃれば、もめる要素になりかねないため、慎重に進めていく必要があります。

 返済してもらえるかわからないからと安易に債権放棄してしまうと、トラブルに発展する可能性が考えられます。こういったお悩みがある場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。

<参考>
相法9、相基通9-2、財基通205ほか

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